将棋を題材にした作品と聞くと、少しかたい印象を持つ人もいるかもしれません。
でも『盤上のオリオン』は、そんなイメージをいい意味で裏切ってくれる作品です。
物語の中心にいるのは、かつて神童と呼ばれながら、今は連敗を重ねている二宮夕飛。そんな彼が、バーで将棋を指す少女・茅森月と出会ったことをきっかけに、止まりかけていた時間をもう一度動かしていきます。作品紹介では、夕飛が「かつての輝きを失い連敗を重ねていた」こと、そして月の将棋が“鋭く自由”であることが示されています。
あらすじ
将棋の世界で期待を背負っていた二宮夕飛は、思うように勝てない日々のなかで、自分の才能や進む意味を見失いかけていました。
そんなある日、彼はバーで破天荒な少女・茅森月と出会います。
月は自由奔放で、どこか常識の外側にいるような存在です。けれど盤上では圧倒的で、その一手一手が夕飛の心を強く揺さぶります。公式紹介でも、本作は“才能ひしめく将棋界”を舞台にした青春物語として紹介されており、バーから始まる将棋×青春×ラブストーリーという独特の入り口も印象的です。
そこから物語は、ただ将棋に勝つだけではなく、才能に向き合うこと、負けた悔しさを抱えること、そしてライバルたちと競い合いながら前へ進むことへと広がっていきます。実際に講談社の巻紹介でも、夕飛が“肩を並べていたはずのライバル・久慈彼方”と公式戦で当たる展開が示されていて、本作がライバル関係の熱さをしっかり描く作品だとわかります。
感想
『盤上のオリオン』の魅力は、勝負そのものの面白さ以上に、競争のなかで人が変わっていくところにあると思います。
ライバルがいるから悔しい。
でも、その悔しさがあるから強くなれる。
この作品には、そんな青春ものらしいまっすぐな熱がちゃんとあります。
読んでいて特によかったのは、ライバルの存在がただの壁では終わらないところです。相手が強いから苦しいし、自分にはないものを持っているからこそ少しうらやましくなる。けれど、その感情がそのまま「自分も頑張ろう」という理由になっていく。その流れがとても自然で、読んでいて気持ちがいいです。
誰かの才能を見て、まぶしいと思うことがあります。
同時に、少しだけうらやましくなることもあります。
『盤上のオリオン』は、その感情を否定せずに描いてくれるのがいいところです。うらやましさは醜いものではなくて、ときには自分を前に進める火にもなる。そう感じさせてくれる作品でした。
将棋を知らなくても読みやすいのも、この作品の大きな魅力です。
ルールの細かさよりも、盤上にのる感情の動きがしっかり伝わるので、自然と引き込まれます。青春ものとしても読みやすく、勝負の世界でぶつかり合う少年少女の成長物語として素直に楽しめます。マガポケの公式紹介でも、本作は毎週更新の連載作品として継続中で、将棋×青春×ラブストーリーとして打ち出されています。
まとめ
『盤上のオリオン』は、ライバルとの競争のなかで人が成長していく姿がまぶしい作品です。
誰かに負けた悔しさも、追いつけない焦りも、少しのうらやましさも、全部ひっくるめて前に進む力に変えていく。その熱さが、この物語のいちばんの魅力だと思います。
何かを頑張る理由がほしいとき。
誰かの背中が少しまぶしく見えるとき。


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