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エロイムエッサイム エロイムエッサイム 我は求め訴えたり
「泣ける音楽漫画」と聞いても、ここまで胸の奥を静かに揺らしてくる作品はそう多くありません。
四月は君の嘘は、恋と青春の物語でありながら、“音楽そのもの”が感情を語る作品です。ページをめくるたび、ピアノやヴァイオリンの音が聞こえる気がして、気づけば息が詰まる。そんな体験が待っています。
原作は 新川直司。『月刊少年マガジン』(講談社)で2011年5月号〜2015年3月号まで連載され、全11巻・全44話で完結。2013年には講談社漫画賞(少年部門)を受賞しています。
作品概要
“母の呪縛”で音を失った天才ピアニストが、自由奔放なヴァイオリニストに出会い、もう一度ステージへ戻っていく。
ただの「上達」じゃなくて、「怖い」「弾けない」「それでも弾きたい」という心の層を、音楽で描き切る青春譚です。
あらすじ
主人公は 有馬公生。かつては“ヒューマンメトロノーム”と呼ばれた天才ピアニストでしたが、母の死をきっかけに、演奏中にピアノの音が聴こえなくなってしまいます。
色のない日常を、惰性で過ごす公生。そんな彼の前に現れるのが、 宮園かをり。圧倒的に自由で、まっすぐで、眩しいヴァイオリニストです。
彼女は公生を“伴奏者”として引っ張り出し、止まっていた時間を無理やり動かしていきます。
公生は再びステージに立つ。でもそこには、音楽の喜びだけじゃなく、忘れたはずの痛みも一緒に戻ってくる——。
主な登場人物
- 澤部椿:公生の幼なじみ。止まった公生の時間を動かすため、かをりを手助けする存在。
- 渡亮太:公生と椿の友人。人気者で、かをりから“好意”を寄せられる。
- 相座武士/井川絵見:公生の“かつて”を知り、彼の復帰を待ち続けていたライバルたち。
見どころ5選
1) 漫画なのに、音が「聞こえる」
この作品がすごいのは、音楽の凄さを“説明”じゃなくて“体感”で伝えてくるところ。
コマ割り、余白、視線誘導、表情の切り取り方……それらが全部、リズムになってる。読んでいるのに、演奏を聴いているような感覚があるんです。
だから、上手い・下手の話だけじゃなくて、
「怖い」「焦る」「息ができない」「でも突っ込む」みたいな心の音まで、紙の上で鳴ってしまう。
2) 公生のトラウマが“音楽の物語”になっている
公生の傷は、ただの悲しい過去ではありません。
「弾けなくなった」のは才能が消えたからじゃなく、母の記憶と結びついた“音”が、彼にとって痛すぎたから。
そして本作は、その回復を優しくは描かない。
何度も崩れて、逃げたくなって、それでも鍵盤に触れる。
その過程が丁寧だからこそ、少し前に進んだ瞬間が、信じられないほど沁みます。
3) かをりの演奏が、規格外に眩しい
かをりの音楽は、正解をなぞるんじゃなくて“今”を燃やして鳴らす音。本作品の自由の象徴とも言える。
だから公生の中の「こう弾くべき」が、どんどん壊されていく。
壊されるのは怖い。でも、壊された先にしか見えない景色がある。
この作品の春っぽさって、実はこの“破壊力”から来てると思います。
4) ライバルたちが“待っている”物語
相座武士も井川絵見も、公生に勝ちたいだけじゃない。
かつて圧倒された“あの音”を、もう一度見たい。
彼が戻ってくるなら、自分の音も変わる気がする——。
ライバルって本来、主人公の前に立ちはだかる存在なのに、
ここでは「君が戻るのを待っていた」という形で物語に熱を足します。
その視線があるから、公生の復帰は“自分のため”だけじゃなくなる。そこが泣ける。
5) タイトルの「嘘」が、優しさとして刺さる
四月は君の嘘の“嘘”は、シンプルに言えば「かをりがついた嘘」。
でもこの嘘は、誰かを傷つけるためじゃなく、誰かの人生を動かすために選ばれた嘘なんですよね。
しかも残酷なのは、その嘘が、最後にいちばん美しい形で“真実”になるところ。
だから読み終わったあと、タイトルがただの言葉じゃなくて、記憶になる。
【ネタバレあり】最後の手紙が、全部持っていく
終盤、かをりの“秘密”と“嘘”が明かされていきます。
そして、公生のもとに届く一通の手紙。
あれは、説明じゃなくて告白で、謝罪で、祈りで、遺書で、それでも希望なんですよね。
「嘘」の正体が言葉としてはっきり提示されるのに、読後感が“暴露”じゃない。
むしろ「あなたに会えてよかった」という、春の温度が残る。
泣けるのは、悲しいからだけじゃありません。
あの手紙が、かをりの人生そのものだったから。
そして公生が、受け取ってしまったから。受け取った以上、もう前に進むしかないから。
今から読むなら?(おすすめの入り口)
- まずは原作全11巻で一気読み(途中から加速度的に刺さります)
- アニメで演奏シーンの“音”を浴びるのも最高(TVアニメは2014年10月〜2015年3月放送)
まとめ
四月は君の嘘は、「泣ける」だけの作品じゃありません。
音楽を通して、人が人を救う話。
でも救い方が優しすぎなくて、現実みたいに痛い。だから本物みたいに残る。
読み終わったあと、たぶん少しだけ春が怖くなる。
それでも、音楽が鳴る方向へ歩いてみたくなる。
そういう作品です。


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