はじめに
「物語」は、ただの娯楽ではなく、ときに自分の立ち位置や価値観をそっと照らしてくれるものです。
今回紹介する3作は、それぞれ信じること/物語そのもの/自分らしさを軸に、現代を生きる私たちの感情に静かに触れてきます。重さも温度も違うけれど、読み終えたあと、少し世界の見え方が変わる——そんな小説を集めました。
📘 イン・ザ・メガチャーチ(朝井リョウ)

朝井リョウの最新作『イン・ザ・メガチャーチ』は、現代の「推し活」やファンダム経済をテーマに、異なる立場の三人の視点から物語が交錯する群像劇です。ある中年の会社員はアイドル運営に関わり、自らの孤独と向き合いながら日々を送る。内向的な女子大生は推しを通じて自分を癒やそうとし、日常と不安の間で揺れる。そして、かつて推し活に熱中していた契約社員の女性は、ある出来事をきっかけにその熱が裏返っていく。彼らが何に心を動かされ、何を信じるのか――“物語”の力と危うさを鋭く描いた一冊で、現代社会の「信じるとは何か」を問いかけます。「推し活」が当たり前になった世の中だからこそ、読んでいただきたい作品です。

📘 世界でいちばん透きとおった物語(杉井 光)

『世界でいちばん透きとおった物語』は、紙書籍ならではの仕掛けが話題の現代ミステリ小説です。主人公・藤阪燈馬は、会ったこともない父親である大御所作家・宮内彰吾の“未発表原稿”を探すよう依頼され、その行方を追い始めます。宮内は生前、多くの女性と関係を持つ複雑な人物であり、彼を通じて“物語”と“人間”の曖昧な境界が浮かび上がっていきます。作品は予測不能な展開と衝撃的なラストが特徴で、読後に世界の見え方まで変わるような透明感と余韻が残る一冊です。人生や記憶の“透きとおる”瞬間を描き出す技巧と驚きの構成が読者を魅了します。読んだら誰かに話したくなる、そんな物語です。

📘 成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈)

『成瀬は天下を取りにいく』は、2024年本屋大賞受賞の話題作で、中学生・成瀬あかりの突き抜けた行動力と等身大の魅力を描く青春小説です。物語は、閉店を控えた地元・滋賀県大津市の百貨店「西武大津店」への並々ならぬ愛を抱いた成瀬が、夏のある日「この夏を西武に捧げる」と宣言するところから始まります。常識や周囲の声にとらわれず、思い立ったら即行動する彼女の姿は読者を爽快な気分にさせ、学校生活や地元の人々との交流を通して“自分らしさ”とは何かを問いかけていきます。ユーモアと熱量に満ちた文章は、読後に前向きな余韻を残し、読む人の心を軽やかにしてくれる一冊です。一行目から成瀬ワールドに引き込まれます。成瀬ファンになること間違いなし。

まとめ
三作に共通しているのは、「自分は何を信じ、どこに立つのか」という問いです。
誰かを推すこと、物語を書くこと、そして自分らしく生きること——形は違っても、その根底には切実な願いがあります。気分や今の心境に合わせて手に取ってみれば、きっと“今の自分”にちょうどいい一冊が見つかるはずです。
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